虹ジャム「若年マイノリティの居場所づくり」リポート
虹ジャム参加者の方からリクエストがあり、2024年5月24日にこのようなテーマで開催しました。
「どんな人でも、安心していられる場所というものが必要ですが、何らかのマイノリティ性を持っている場合、そうした場所の確保がさらに難しくなる現状があります。
特に、繊細で傷つきやすい思春期などの若年層は、まだ保護者の管理下にあって自由にどこへでも行けるわけでもありません。
そのような若年の、特にマイノリティ性を抱えたひとびとの居場所は、どのようにつくっていけるでしょうか?
先行事例に学びつつ、教会などのクリスチャンコミュニティならではの課題や可能性についても、共に語り考えてみませんか。」
まず、リクエストをくださった方に、「いかに思春期のセクシュアルマイノリティがいのちを失うリスクが高いか」を米国での統計などを通して語っていただきました。
次に約束の虹のルカが、日本国内で現在どのような取り組みがあるのか、いくつかの団体やサイトを紹介しました。
また、LGBTやそうかもしれない子ども・若者の居場所づくりをおこなっている一般社団法人「にじーず」がセーフガーディング指針を設けていることを引き合いに、「未成年を対象とする以上、責任の重さは成人以上に高まる。絶対に必要な働きではあるが、ものすごいリスクを負うことは間違いないので、素人が生半可な知識や覚悟で関わってはいけないと厳粛な思いになりました」と語りました。
その前提の上で、今私たちに何ができるか考えていきましょう、ということでトークタイムが始まりました。
ここからは、参加者からの発言をピックアップ・要約してご紹介していきます。
Aさん
教会が居場所になれたら一番いいけど、教会だから難しいのだろうか。キリスト教会は一般に性的少数者に対する理解が乏しいと思われるので、そこからやっていかなければ。
セクマイについての窓口を持った教団もある。(ReBitの)アライ先生キットのような教材を教会向けに作ったり、教会間で共有できるワークショップのようなものを作っていけたら。
もっと教団・教派にとらわれず横のネットワークを作って、
教会間で共有できるような学びのグループなどもできたら。
Bさん
教会は時間かかりすぎるから個人で取り組んでることがあります。
わたしは教会での働きのほかに2つの立場を持っています。
①市の男女共同参画市民推進委員:
パートナーシップ導入のための情報を仕入れながら
②引きこもりの団体との連携:
オンラインで子供たちと、ニックネーム・顔出しなしでお話しする活動。
セクシュアリティに課題があるから引きこもっている子がけっこうな割合でいる
★悩んでいる子と支援団体と繋ぐ
責任を持てない専門的な課題に無責任に関わることは出来ないので、信頼できる支援団体を探して、コンタクトをとって、どんな活動をしてるのか、その子をゆだねてもいいか確認して、こういうところがあるよと紹介。
その後いろんな課題が出てきたらそれを受けとめてまた次につなぐ。
「誰かがつないでくれる」という安心が大切だと思う
中高生は「一緒に考えてほしい」
Q.そういう子たちとの出会いの場は?
⇒インスタ(プロフにアライ🌈)て書いとくとフォローしたりDMで相談してくれたりする)
いいねをつけたり
アライ同士のつながりもある(弁護士の方もいるから相談したり)
・仲間づくり
・相談先に繋げる
・サポーターとしていつでも話せる人になる
この3つを提供することを意識。
★専門家でなくてもこれはできる!!
専門家までたどり着けない子たちをサポートしていく。
自治体によってはLGBT支援員がいるので、そういう人たちと友達になって、どういう相談が来てるか聴いたり。
名古屋の自治体のセミナーで僧侶と牧師を招いての懇談会に出た時、
「わたしの目にはあなたは高価でたっとい わたしはあなたを愛している」を紹介したら支援員の方々からすごく反響、「教えてほしい」と。支援員をサポートする側面もある。
★推進委員としての特権を生かして
推進委員は市の大きなところに働きかけられる窓口。
学校の先生に見てもらいたい資料(信頼できるYouTuberの資料など)を渡せたりする。
直接的な実績にはならないけど、誰かのところには届くと信じて小さなことを積んでいくことを心がけている。
一進一退の感も大いにあってどんな実績があるかと問われたら説明もつかない地味な個人活動にすぎないです。
私はあくまで友人のような応援者であることが目的で、相談のプロや当事者同士のつながり以上にはなれないことを自覚しています。
たくさんの素敵な個性の資産を持ちながらも、当事者の皆さんがどれだけのグリーフ(失ったもの)を抱えているかを想像したり、教えていただけることは頭が下がる体験が多いです。
Cさん
組織として動くのは簡単じゃないから、できるだけ色々な人たちとつながっていく。
個人的な団体を立ち上げてる人たちとのかかわりを増やしていく。
若年層・高齢者にはなかなかたどり着いてないのが課題です(20~40代が中心)
VR空間に自分が行くというよりは、そういう責任者の人たちとつながってく。
教会で(直接)出来ることってあんまりないけど、教会がコミュニティの一部として、つなげ役になれるように。
「アライ」と称して「そんなんどんどんカミングアウトしたらええやんか~」と無責任に主張する人がいたりするから、そういう人たちを教育できる対処法は必要かなと思います
Dさん
当事者と、クリスチャンの関心ポイントにズレがある。
自分の思春期や教会やクリスチャンに相談したいとは全く思わなかった。
自分が本当に同性と性行為が出来るのかっていうのが、当時の自分にとって一番大事だった。
誰かに相談するよりハッテン場に足を運んだ。
そこで初めて同性と性行為をすることで、「ああよかった」という安心と、「自分を知ってしまった」という悲しみで泣きながら家まで帰った。
あなたを理解します愛しますという言葉より、見ず知らずの男性とのハグやキスなどの温かみのほうが「受け入れられる」体験だった。
性行為や場所を選んで自分を知っていったという経験。
もうちょっといい選択があったかもしれないけど、言葉以上に人からのぬくもり・愛されたい部分が大きいのでは。
会いたいと言ってくれる20も年下の子たちに、無責任に会えないなと躓いて、出会いアプリはやめてしまった。
クリスチャンの中での当事者の出会いって考えたらもっと圧倒的に狭くなる・・・
Dさんのお話しを受けて、他の参加者から同意が相次ぎました。
「生身の身体を通しての温かさ、親密さを実感すること大事ですよね。」
「肉体的なニーズ、絶対無視できないと思います。
「しちゃだめ」だと、した人はもう関係を続けられなくなる。
だから、そうじゃなく、するならこれに気をつけて、傷ついたら帰っておいでと言える信頼関係を育むことが大切なんだと思います」
「性の問題と生きる問題はセット。
別に考え出すと趣味嗜好に分類されちゃって・・・そこに悲しさといら立ちを感じる」
「いのちを守るためには、相談してもらえなきゃ始まらないんだからね」
「包括的な「いのちを守るためには」という性教育にならなくては」
Eさん
高校卒業まで長崎県で、福音派のクリスチャンホームに育ちました。
こういった活動や支援は大都市圏に偏って行われがちだけど、どの地域に住んでる若者でも手の届く場所であってほしい。子供は自分が住む場所は選べないから・・・
オンラインはすごくいいけど、僕はインターネットの使用がすごく厳しく制限されてたし、プライバシーなくて使用履歴が見られてたりとかで、そういう情報にアクセスすることもできず苦しかったです。
小学校での取り組みはいいなと思った、義務教育なので基本すべての子どもが属するから。そこで大人がアライになってくれるのはいいなと思います。
ただ、当事者同士で知り合うのは難しいのかな💦
Dさん
LGBTクリスチャンの出会いサイトあったらいいですね・・・
Fさん
引きこもりの子どもたちを持つ親御さんたちが始めた手作りの喫茶店の事例。
学校は?とか言われずに子供がいられる場所、語り合いの場だった。高齢化や、メンタルの調子を崩している人ばかりなので世代交代できずに終わってしまったけど・・・
ある人が性被害に遭ったことを打ち明けたら、次々他の人も語りだして、「こんなに多いんだね」と。主宰が女性だから女性が集まって、運営も女性ばかりだったから女性が話しやすかったのかなと。
受け入れてくれそうで結局ダメだったという経験はいのちにとどめを刺す。
自分に何かできるとは思わないけど、支援者につなぐってことはすごく重要だなと思っている。自分が障害者で色んな支援者に繋がってるので、アイディアは出せると思う。
悩んだ時・苦しい時に話していただける人になりたいなと思う。
マイノリティについてクリスチャンや教会の中での理解の発展は望むけど、神学的な議論になってしまうとその余波で当事者が切りつけられることがあるのが残念。たとえば医師の研究会などで患者の写真、データを用いる際は、患者がそれを聞くことはない。神学が刷新されることと同時に、論題にされた当事者をいかに守れるか悩んでしまう。
だから聖書の理解の中で受け入れるというより、キリスト教、教会、クリスチャン関係ないところでやったほうがいいように思う。
そういう場を作ると、なぜか教会になじめないクリスチャンがたくさん集まって来る。それで思うんです。あぁここにもイエスさまがおられるんだなーって。
感想
「どういうふうに収斂していったらいいかわからないけど、これから皆さんとつながって、機会あるごとにこういう交わりを持っていきたいと思います。
ネットワークづくりの良い第一歩でした。」
「ハコじゃなくって、まず一人悩んでる子と繋がれたらそれが居場所だと思う
その中で「この人とこの人だったらここでグループ一個つくってみようか」と試しにコアメンバーも混ざって、って感じで少人数から立ち上げていけば・・・まず目の前の需要に合わせてスタートできたら」
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